臥聞疎響梧桐雨 獨詠微涼殿閣風 |
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【読み】 |
臥して聞く疎響(そきょう)梧桐の雨、独り詠ず微涼(びりょう)殿閣 |
(でんかく)の風 |
【意味】 |
(私は)寝ころんでまばらに降る雨が梧桐に滴る響きを聞いている。 |
(君は)宮中において”微涼の風”を詠じているのだろう。 |
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唐の文宗皇帝の起承の句を受けて詩人の柳公権が『薫風南より来たる。殿閣 |
微涼を生ず』という転結の詩を作って一編の詩にした。全体の意味は「世間一 |
般の大多数の人は夏の日のカンカン照りの暑さを厭がるけれど、私はその夏 |
の日が一年中で一番好きである。暑いと言っても、時折、木立を渡ってそよそ |
よと吹いてくる薫風によって、さしも広い宮中もいっぺんに涼しくなり、その心 |
よい清々しさはむしろ夏でないと味わえない」 というもの。蘇東坡はこの詩に |
対して、皇帝陛下は生まれながら広い宮中に住んでいるので天下の人々が |
炎熱の暑さに苦しんでいるのに気が付かないと、為政者の思いやりの無さを |
批判している。蘇東坡は当時の上流社会を諷刺を込めて一編の詩を作って |
一切の垢の抜けきった無心の境涯を”微涼殿閣風”と詠ったのです。 |
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(出典:朱光庭の初夏に次韻す 蘇東坡 七言律詩の三句四句) |