幾度天涯望白雲 今朝帰省見雙親 春秋雖富朱顔在 |
歳月無憑白髪新 美味調羹呈玉筍 佳肴入饌膾冰鱗 |
人生百行無如孝 此志眷眷慕古人 |
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【読み】 |
幾度(いくたび)か天涯 白雲を望む今朝 帰省して雙親(そうしん)に |
見(まみ)ゆ 春秋 富みて朱顔ありと雖も 歳月 憑(よ)る無くして白髪 |
新たなり 美味 羹(こう)を調して玉旬(ぎょくじゅん)を呈し 佳肴 |
(かこう)饌(せん)に入って冰鱗(ひょうりん)を膾(かい)にす |
人生 百行(ひゃくこう)孝に如(し)くは無し 此の志 眷眷(けんけん) |
として古人を慕う |
【意味】 |
幾度となく遠く離れた地から故郷の方の白雲を眺めたことだろう。 |
今日、故郷に帰り両親にあった。歳はとっているものの血色の良い |
若々しい顔でおられたが、歳月は思うようにいかず、白髪が増えて |
いる。羹(あつもの)を調理して、竹の子をさし上げて、ごちそうを |
用意し、氷の下の鯉の膾(なます)を造った。人生には数多くの |
行いがあるが、孝行に勝るものはない。自分もこのことを肝に |
命じ、昔の孝子のことを思い慕いつつ、見習ってみたいものである。 |
*天涯…きわめて遠いこと *春秋…歳月、年齢
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*玉旬・・・たけのこ ⋆佳肴…ごちそう ⋆冰鱗…氷の下の魚。鯉 |
⋆入饌…膳の用意をする ⋆無如…及ばない |
*眷眷…ねんごろに厚く思う *古人…孝子、孝行な人として有名 |
な呉の孟宗や晋の王祥 |
【出典:帰省(唐・狄仁傑) 】 |